「『あの世』の経済学」

●Scott Gordon, “The Economics of the Afterlife”(Journal of Political Economy, Vol.88, No.1, February 1980, pp.213-214;こちらで全文閲覧可能) ここのところ、経済学の分析ツールを(通常では経済学の守備範囲だとは思われていない)新たな分野にま…

ロバート・ルーカス 「名目GDP成長率は多かれ少なかれ直接的に金融政策によって影響されるのです」

“Why a Second Look Matters”(CFR Symposium on a Second Look at the Great Depression and the New Deal, New York Council on Foreign Relation, March 30, 2009)におけるロバート・ルーカスの発言の抜粋訳。時間がないのでここでは抜粋訳にとどめたけ…

assorted link;マネタリー・コンスティテューション

●J. M. Buchanan, “Monetary research, monetary rules, and monetary regimes(pdf)”(Cato Journal, Spring/Summer 1983, vol.3(1), pp.143-146)●J. M. Buchanan, “The relevance of constitutional strategy(pdf)”(Cato Journal, Fall 1986, vol.6(2…

「ポーゼン、日本経済の行方について語る」を語る

恒例の(?)あの友人とランチ。今年も相変わらず元気な様子で・・・今年も色んな意味で長い一年になりそうだ。 「中央銀行の独立性」については去年一緒にランチした際に話したけれど、直近のhimaginaryさんのブログでも独立性の話題が取り上げられているよ…

「ジェームズ・ブキャナンよ、永遠に」

公共選択論(Public Choice)ならびに立憲的政治経済学(Constitutional Political Economy)の開拓者の一人であり、「経済的・政治的な意思決定の理論に対する契約的・立憲的な基礎付けを発展させた」(“for his development of the contractual and consti…

「流動性の罠」下におけるインフレーション・ターゲッティング:日本経済に埋め込まれた排中律

●Paul Krugman(1999), “Inflation targeting in a liquidity trap: the law of the excluded middle”パソコンのハードディスクを整理していたら途中まで訳してほったらかしにしていたのを発見。折角なんで最後まで訳してみた。1999年に書かれた論説です。 …

「金融政策は重要じゃない 〜Fedの歴史における最も危険なアイデア〜」

●Christina D. Romer and David H. Romer, “The Most Dangerous Idea in Federal Reserve History: Monetary Policy Doesn’t Matter(pdf)”(Preliminary Draft, December 31, 2012)の導入部の抜粋訳。 過去100年にわたるFedの歴史において(少なくとも後…

assorted link;ポーゼン、デフレーション

海外のブログを眺めていると「assorted link」と題したエントリーをよく目にする。「assorted link」=ブログ主の興味を引いた論文や記事・ブログエントリー等のリンクだけを貼った「ミニリンク集」のことだけれど、何かと便利そうなので*1真似してみること…

assorted links;NGDP水準目標

●David Beckworth, “Nominal GDP Level Targeting Links”(Macro and Other Market Musings, October 19, 2011)ベックワースが掲げているリンクのうちで邦訳が存在するもの(私が発見できた範囲で)については以下にあわせてリンクを貼っておこう。 I. Some…

強力な金融緩和効果を秘めた「資産」?

1月1日になった瞬間に例の友人から電話。年賀状出すの面倒臭いから電話で済まそうと思って、とのこと。ガキ使を見ながらの電話だったので会話の内容をどこまで正確に覚えているかは自信はないけれど、記憶している範囲で再現してみよう。 あけおめだよね。そ…

どマクロの世界では期待インフレ率の上昇はどのような効果を持つか?

今日もまた例の彼とランチ。いつにもましてのマシンガントークだったけれども、突然ナプキンの裏に何か図を描き出すものだから、「もしや新しい経済学が誕生する瞬間に立ち会っているのか」・・・と一瞬緊張してもみたり。 IS-LMとかAD-ASとかいった「どマク…

目標間のトレードオフとか修正エヴァンズ・ルールとか

どうでもいい前置きは抜きにしますが、例の友人とランチに行ってきました。毎度のごとく一方的に語っていただきました。 アルティグさん、何だか苛立ってるみたいだね。●Dave Altig, “Try, Try Again”(macroblog, December 21, 2012)今回のFOMCの決定をイ…

大きな謎ともっと大きな謎

ちょっとした買い物をするためにバスに乗っていたところ、前の席に座っていた2人の男性がおおむね次のような会話をしていた。徹夜明けでちょっと眠たかったんで、ところどころ記憶違いがあるかもしれない。 X氏:「ちょっと聞いてほしいんだけど、僕にはよく…

「NGDPLT! NGDPLT!」

●Jeffrey Frankel, “Time for Nominal Growth Targets”(Project Syndicate, December 16, 2012) erickqchanさんとtmpsoulcageさんのつぶやき経由。「インフレ目標の死 by Jeffrey Frankel」(erickqchanさん訳)とあわせて読むと吉。以下は抜粋訳(ちなみ…

Garett Jones 「研究のインセンティブ 〜みすぼらしいパフォーマンスと世間からの高い評判〜」

●Garett Jones, “Research Incentives: Milton Friedman on the Fed”(EconLog, December 11, 2012) カネ(金銭的なインセンティブ)は研究の結果に影響を与えるのだろうか? 医薬品の研究・開発をめぐってこの質問が問われることはよくあるが、この質問は…

Garett Jones 「最も粘着的な価格、その名は「債務」」

●Garett Jones, “Debt: The Stickiest Price of All”(EconLog, September 11, 2012) 名目支出の減少はどのようにして実体経済に害を及ぼし得るのだろうか? この問題をめぐって経済学者は数多くのストーリーを語る。いや、語らざるを得ないのだ。名目支出…

Marcus Nunes 「カーニーの「改宗」? 〜常態としてのNGDP-LT〜」

●Marcus Nunes, “NGDP-LT: “A target for all seasons””(Historinhas, December 12, 2012) ナバラ王(King of Navarre)からフランス王(King of France)への「昇格」(‘upgrade’)を果たすためにカトリックに改宗するにあたって、アンリ4世(Henry IV)…

スコット・サムナー「カナダからの爆弾発言 〜カーニー、NGDP水準目標を支持〜」

●Scott Sumner, “Extremely Worthwhile Canadian Initiative”(TheMoneyIllusion, December 11, 2012) JimPがテレグラフの非常に興味深い記事を私宛に送ってくれた。 カナダ中銀の現総裁であり、来年の6月にイングランド銀行総裁の座をマーヴィン・キングか…

NAIRUとヒステレシス

個人的なメモ用としてスティグリッツの1997年のJEP論文 “Reflections on the Natural Rate Hypothesis”(Journal of Economic Perspectives, Vol.11(1), pp.3-10)を眺めていて興味をひかれた箇所を突貫訳してみる。 人口構成の変化やwage aspiration effe…

Neil Irwin 「Fedから届いた大ニュース」

●Neil Irwin, “Huge news out of the Federal Reserve”(Wonkblog, December 12, 2012) 本日の午後、Fedの政策当局者によってどでかいサプライズが披露された。ゼロ金利解除の基準(金利引き上げの条件)となるインフレ率と失業率の具体的な数値が明らかに…

ローレンス・ボール「Fedの決定を解釈する」

●Laurence Ball, “Interpreting the Fed”(Greg Mankiw's Blog, December 13, 2012) 友人でもあり論文の共著者の一人でもあるローレンス・ボール(Laurence Ball)から今回のFedの決定に関する素早い分析がメールで送られてきたので以下に転載する。今回のF…

「ウッドフォードに聞く 〜FOMCの新たな決定を受けて〜」

●Zachary A. Goldfarb, “Michael Woodford on the new Fed policy”(Wonkblog, December 12, 2012) さる8月のジャクソンホールシンポジウムにおいてマイケル・ウッドフォード(Michael Woodford)―コロンビア大学に籍を置く経済学者であり、貨幣理論の指導…

James Hamilton 「1兆ドルのプラチナイーグルコイン」

●James Hamilton, “Trillion dollar platinum coin”(Econbrowser, December 8, 2012) アメリカ議会が債務上限の引き上げを拒否した場合、オバマ大統領はどのような手に打って出ることができるだろうか? オバマ大統領が採り得る手段として様々な提案がまこ…

Matthew Yglesias 「プラチナコインの抜け穴」

●Matthew Yglesias, “The Rooseveltian Precent For Exploiting The Platinum Coin Loophole”(MoneyBoX, December 7, 2012)ハミルトン(James Hamilton)のエントリーとあわせてどうぞ。 その素材がプラチナである限りにおいて財務長官は新しい法貨をいく…

「中央銀行の独立性」とか「アイデアの政治経済学」とか

特段仲が悪いわけでもないのになかなか都合があわずに1〜2年まったく顔を合わせないことがあるかと思うと、ちょっとしたきっかけで頻繁に顔を合わすようになって連日のようにランチをともにしたり、という経験はままあるものです。そうです。一方的に喋りま…

「外からのレジーム転換」と「内からのレジーム転換」

このブログでも以前一度だけ登場したことのある知人と昨日久しぶりに会ってランチ。その時の会話の様子を再現してみる(といっても、彼が一方的に喋っていたわけだけど)。 ベックワースの「マネタリー・スーパーパワー仮説」(http://d.hatena.ne.jp/Hicksi…

ロバート・フランク 「ミルトン・フリードマンの別の顔;社会福祉プログラムの改善に向けて」

●Robert H. Frank, “The Other Milton Friedman: A Conservative With a Social Welfare Program”(New York Times, November 23, 2006)日付にご注意(2006年11月23日付けの記事)。 先週94歳でこの世を去ったミルトン・フリードマン(Milton Friedman)と…

クリスティーナ・ローマー「為替レートに関する率直な議論を求む」

●Christina D. Romer, “Needed: Plain Talk About the Dollar”(New York Times, May 21, 2011)日付に注意されたい(2011年5月21日付の記事)。 最近開催されたコンファレンスでベン・バーナンキ(Ben S. Bernanke)FRB議長は最近のドル安傾向について意見…

「デレバレッジ・ショックと財政乗数」

●Paul Krugman, “Deleveraging Shocks and the Multiplier (Sort of Wonkish)”(The Conscience of a Liberal, October 9, 2012) ジョナサン・ポルテス(Jonathan Portes)−来週ロンドンで行われる予定の財政政策に関する討論の場では私と彼とは共同戦線を…

Antonio Fatás 「過小評価された財政乗数」

●Antonio Fatás, “Underestimating Fiscal Policy Multipliers”(Antonio Fatas and Ilian Mihov on the Global Economy, October 8, 2012) この度発表されたばかりのIMFの世界経済見通し(IMF World Economic Outlook)では世界経済の回復を鈍化させるリス…