コーエンの新訳が近々出版されるらしいよ


◎タイラー・コーエン著/石垣尚志*1訳 『アメリカはアートをどのように支援してきたか−芸術文化支援の創造的成功』(ミネルヴァ書房、2013年07月刊行予定)

以下、出版元であるミネルヴァ書房のHPより引用。

芸術文化の振興に関して、対立するふたつの立場がある。ひとつは芸術文化への助成を否定し、市場に任すべしとする立場、もうひとつが芸術文化は素晴らしいものであり公的に助成すべきだとする立場である。両者はたいてい相手の存在を無視して自分たちの主張を繰り返すばかりである。本書は、アメリカにおけるそれぞれの立場の主張内容と意義そして可能性と限界を整理し、望ましい芸術文化支援のあり方を探る。(原著=Tyler Cowen, Good & Plenty: The Creative Successes of American Arts Funding, Princeton University Press, 2006.)

[ここがポイント]
◎ 原著者タイラー・コーエンは2011年にイギリス「エコノミスト」誌によって「世界に最も影響力をもつ経済学者の一人」に選ばれた人物。
◎ これからの日本の文化政策を考えるうえで比較対象となるアメリカの事例が取り上げられている。


原著は2006年に出版された『Good and Plenty: The Creative Successes of American Arts Funding』(Princeton University PressのHPで第1章(pdf)を読むことができる。また、コーエンのHPで第1章の草稿(pdf)を読むこともできたり)。

以下はリッチモンド連銀発行のRegion Focusに掲載されたコーエンのインタビュー。原著である『Good and Plenty』が出版される直前に行われたものであり、『Good and Plenty』の内容についても話題に上っている。

●“Interview−Tyler Cowen(pdf)”(Region Focus, FRB of Richmond, Winter 2006


Good & Plenty: The Creative Successes of American Arts Funding

Good & Plenty: The Creative Successes of American Arts Funding


ちなみに、本書はコーエンによる文化経済学方面の著書としては2冊目の邦訳。1冊目の邦訳は以下。

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業


翻訳を手に取る前に原著を再度読み直しておきたいところだけれど、それにしても夏場に額に汗しつつコーエンの文化経済学と向き合う機会が多いような気がするのは気のせいだろうか。

ついでながら、9月にコーエンの新著(『Average Is Over: Powering America Beyond the Age of the Great Stagnation』)が出版される予定とのこと。『The Great Stagnation』(邦訳『大停滞』)の続編という位置づけのようだ。

The Great Stagnation: How America Ate All the Low-Hanging Fruit of Modern History, Got Sick, and Will( Eventually) Feel Better

The Great Stagnation: How America Ate All the Low-Hanging Fruit of Modern History, Got Sick, and Will( Eventually) Feel Better

大停滞

大停滞

*1:訳者である石垣氏のブログはこちら