非合理的な投票者;災害対策の事例


●Bryan Caplan, “Disastrous Voting”(EconLog, July 15, 2008)

Even when government spending could greatly improve efficiency, it fails to do so. In the hands of rational voters, government is strong medicine for public goods problems. But in the hands of real voters, government is usually a big bottle of snake oil.


●Andrew Healy, “Preferring a pound of Cure to an ounce of Prevention: Voting, Natural Disasters, and Goverment Response(pdf)”


投票者も災害の共謀者だ(American voter is a co-conspirator)というのは上手い表現だと思う(憤慨する人もいるかもしれないけど、怒っていてもはじまらない)。

①災害予防策のおかげでどれだけ災害を回避できたか(あるいは被害の程度をどれだけ抑えることができたか)、ということと、②起こってしまった災害に対してどう対処したか、ということとのどちらの場合が投票者にアピールするかとなればおそらく後者(②)だろう(予防策のおかげで災害被害を防止できたとしてもそれが予防策のおかげなのか災害の規模が小さかったためなのか(あるいは大規模な災害だったにもかかわらず幸運にも被害が少なくてすんだのか)わかりにくい。実際起こってしまったことに対して何をしたかということになると目に見えやすい分わかりやすい)。災害予防(事前的な災害対策)よりも被災支援(事後的な災害対策)のほうが票につながり易いとなれば、どれだけ災害予防が災害被害を抑えるうえで効果的であろうとも政治家としては被災支援に力を入れるインセンティブを持ってしまうのも無理もないことであろう。政策が投票者の意向を(そしてその投票者の意向を汲んだ政治家の判断を)反映するものとすれば、投票者の意向いかんによっては経済学的に「不合理な」政策が施される可能性がある。