経済

Marcus Nunes 「アベノミクスのこの1年の成果を振り返る」

●Marcus Nunes, “‘Abenomics’ one year on”(Historinhas, January 16, 2014) 一昨年(2012年)の9月のこと、経済を再び力強い成長軌道に乗せるとともにデフレからの脱却を目指すことを公約に掲げた安倍晋三氏が自民党の新たな総裁に選出された。そして、同…

Marcus Nunes 「日本で今何が起こっているのか? 〜予想インフレ率の気になる急落〜」

●Marcus Nunes, “A visual take on Japan”(Historinhas, June 4, 2013) 直近のエントリー(訳注;sowerberryさんによる邦訳はこちら)でラルス・クリステンセンが次のように語っている。 ここのところ日本では予想インフレ率が低下しているわけだが、その…

「ウッドフォード・ピリオド 〜迎え酒にバーボンを〜」

●Bill C, “The 'Woodford Period': A Bourbon for Bernanke?”(Twenty-Cent Paradigms, February 21, 2013) つい先日、セントルイス連銀総裁であるジェームス・ブラード(James Bullard)が「現状の金融政策のスタンス」をテーマに講演を行ったが、その内容…

「Q. 仮に日本銀行が実際とは異なる金融政策を採っていたとしたらデフレは避け得ただろうか?」

●Japan's Deflation(IGM Economic Experts Panel, January 29, 2013) 「1997年以降日本ではデフレーションがしぶとく続いているが、仮に日本銀行が実際とは異なる金融政策を採っていたとしたらデフレは避け得ただろう」。この主張に同意しますか? *「強…

「『あの世』の経済学」

●Scott Gordon, “The Economics of the Afterlife”(Journal of Political Economy, Vol.88, No.1, February 1980, pp.213-214;こちらで全文閲覧可能) ここのところ、経済学の分析ツールを(通常では経済学の守備範囲だとは思われていない)新たな分野にま…

「NGDPLT! NGDPLT!」

●Jeffrey Frankel, “Time for Nominal Growth Targets”(Project Syndicate, December 16, 2012) erickqchanさんとtmpsoulcageさんのつぶやき経由。「インフレ目標の死 by Jeffrey Frankel」(erickqchanさん訳)とあわせて読むと吉。以下は抜粋訳(ちなみ…

Garett Jones 「研究のインセンティブ 〜みすぼらしいパフォーマンスと世間からの高い評判〜」

●Garett Jones, “Research Incentives: Milton Friedman on the Fed”(EconLog, December 11, 2012) カネ(金銭的なインセンティブ)は研究の結果に影響を与えるのだろうか? 医薬品の研究・開発をめぐってこの質問が問われることはよくあるが、この質問は…

Garett Jones 「最も粘着的な価格、その名は「債務」」

●Garett Jones, “Debt: The Stickiest Price of All”(EconLog, September 11, 2012) 名目支出の減少はどのようにして実体経済に害を及ぼし得るのだろうか? この問題をめぐって経済学者は数多くのストーリーを語る。いや、語らざるを得ないのだ。名目支出…

Marcus Nunes 「カーニーの「改宗」? 〜常態としてのNGDP-LT〜」

●Marcus Nunes, “NGDP-LT: “A target for all seasons””(Historinhas, December 12, 2012) ナバラ王(King of Navarre)からフランス王(King of France)への「昇格」(‘upgrade’)を果たすためにカトリックに改宗するにあたって、アンリ4世(Henry IV)…

NAIRUとヒステレシス

個人的なメモ用としてスティグリッツの1997年のJEP論文 “Reflections on the Natural Rate Hypothesis”(Journal of Economic Perspectives, Vol.11(1), pp.3-10)を眺めていて興味をひかれた箇所を突貫訳してみる。 人口構成の変化やwage aspiration effe…

Neil Irwin 「Fedから届いた大ニュース」

●Neil Irwin, “Huge news out of the Federal Reserve”(Wonkblog, December 12, 2012) 本日の午後、Fedの政策当局者によってどでかいサプライズが披露された。ゼロ金利解除の基準(金利引き上げの条件)となるインフレ率と失業率の具体的な数値が明らかに…

ローレンス・ボール「Fedの決定を解釈する」

●Laurence Ball, “Interpreting the Fed”(Greg Mankiw's Blog, December 13, 2012) 友人でもあり論文の共著者の一人でもあるローレンス・ボール(Laurence Ball)から今回のFedの決定に関する素早い分析がメールで送られてきたので以下に転載する。今回のF…

「ウッドフォードに聞く 〜FOMCの新たな決定を受けて〜」

●Zachary A. Goldfarb, “Michael Woodford on the new Fed policy”(Wonkblog, December 12, 2012) さる8月のジャクソンホールシンポジウムにおいてマイケル・ウッドフォード(Michael Woodford)―コロンビア大学に籍を置く経済学者であり、貨幣理論の指導…

James Hamilton 「1兆ドルのプラチナイーグルコイン」

●James Hamilton, “Trillion dollar platinum coin”(Econbrowser, December 8, 2012) アメリカ議会が債務上限の引き上げを拒否した場合、オバマ大統領はどのような手に打って出ることができるだろうか? オバマ大統領が採り得る手段として様々な提案がまこ…

Matthew Yglesias 「プラチナコインの抜け穴」

●Matthew Yglesias, “The Rooseveltian Precent For Exploiting The Platinum Coin Loophole”(MoneyBoX, December 7, 2012)ハミルトン(James Hamilton)のエントリーとあわせてどうぞ。 その素材がプラチナである限りにおいて財務長官は新しい法貨をいく…

「中央銀行の独立性」とか「アイデアの政治経済学」とか

特段仲が悪いわけでもないのになかなか都合があわずに1〜2年まったく顔を合わせないことがあるかと思うと、ちょっとしたきっかけで頻繁に顔を合わすようになって連日のようにランチをともにしたり、という経験はままあるものです。そうです。一方的に喋りま…

「外からのレジーム転換」と「内からのレジーム転換」

このブログでも以前一度だけ登場したことのある知人と昨日久しぶりに会ってランチ。その時の会話の様子を再現してみる(といっても、彼が一方的に喋っていたわけだけど)。 ベックワースの「マネタリー・スーパーパワー仮説」(http://d.hatena.ne.jp/Hicksi…

ロバート・フランク 「ミルトン・フリードマンの別の顔;社会福祉プログラムの改善に向けて」

●Robert H. Frank, “The Other Milton Friedman: A Conservative With a Social Welfare Program”(New York Times, November 23, 2006)日付にご注意(2006年11月23日付けの記事)。 先週94歳でこの世を去ったミルトン・フリードマン(Milton Friedman)と…

Antonio Fatás 「過小評価された財政乗数」

●Antonio Fatás, “Underestimating Fiscal Policy Multipliers”(Antonio Fatas and Ilian Mihov on the Global Economy, October 8, 2012) この度発表されたばかりのIMFの世界経済見通し(IMF World Economic Outlook)では世界経済の回復を鈍化させるリス…

「バーナンキvs.Fedボーグ」

●Matthew O'Brien, “Bernanke vs. the Borg: A Short History of the Fed's Amazing Transformation”(The Atlantic, October 1, 2012)Macro and Other Market Musings経由。Fedボーグに取り込まれたかに見えたバーナンキ議長は実のところはバーナンキ教授…

「ザ・日銀の番人」の新著を購入

日本銀行が「デフレの番人」だとすれば、そのような日銀の「デフレの番人」ぶりを長きにわたり厳しく批判し続けてこられた岩田規久男氏は「日銀の番人」(言い換えれば、『「デフレの番人」の番人』)だと言えよう。日本銀行デフレの番人 日経プレミアシリー…

タバロック「正義の成長と経済の成長」

●Alex Tabarrok, “The Growth of Justice”(Marginal Revolution, May 9, 2012) 正義(Justice)は経済の成長にとって重要な要素の一つである。自らの生命や自由、財産が恣意的に(自らの意思に反して)略奪されたり破壊されたりするかもしれないと内心ビク…

ロドリック「アイデアと利害 〜利害を形作るアイデア〜」

●Dani Rodrik, “Ideas over Interests”(Project Syndicate, April 26, 2012) Interests are not fixed or predetermined. They are themselves shaped by ideas – beliefs about who we are, what we are trying to achieve, and how the world works. Our…

「「流動性の罠」の罠 〜「流動性の罠」の政治経済学〜」

久しぶりに会った知人とランチ。そこでの会話をまてめてみる(といっても、相手が一方的に喋っていたわけですがw)。 himaginaryさんのブログ読んだ? 「わかりはじめた1930年代のレボリューション」。アイケングリーンさすが(もちろんhimaginaryさんもさ…

Jennifer Roback 「ジョージ・オーウェルの経済思想」

●Jennifer Roback(1985), “The Economic Thought of George Orwell(JSTOR)”(American Economic Review, Vol.75, No.2, Papers and Proceedings of the Ninety-Seventh Annual Meeting of the American Economic Association (May, 1985), pp.127-132) …

「バランスシート不況」

「バランスシート不況」を話題にした海外記事のうち個人的に目についたものをメモ。気が向いたら(まだ訳されていない記事のうち)どれか訳す予定。私の気が向く前にどなたかが訳していただいても一向に構わない・・・というか、むしろどなたか訳してくださ…

「日本経済が「Lost Decade」に陥ることを回避する上で、日本の政策当局者は20年前の時点でどういった手段の採用を考慮に入れるべきだったのでしょうか?」

●“In his recent Financial Times column, Larry Summers compares the U.S. economy today to the Japanese economy in the 1990s. Twenty years ago, what steps should Japanese policymakers have considered that would have helped avert the "Lost De…

Josh Hendrickson 「流動性の罠」

●Josh Hendrickson, “Liquidity Traps”(The Everyday Economist, May 9, 2011) 「流動性の罠」の唯一の有意義な定義は、「流動性の罠=人々が貨幣に対して飽くなき需要を抱くような状況」というものである。この定義にしたがうと、「流動性の罠」の下では…

独立性の罠→慎重バイアス→政治の罠→???

○非伝統的な政策が失敗に終わった場合にFed(あるいは中銀)の権限が侵害されるのではないかという恐れ(独立性の罠)→失敗の過大視→慎重すぎる態度→政策当局者の"bias toward caution"→too little, too lateな政策→政策の効果出ず→マクロ経済政策(財政刺激…

なぜFedはもっと積極的な行動に打って出ないのか?

●Economics of Contempt, “Why the Fed Isn't Doing More”(Economics of Contempt, August 1, 2010) ここ数カ月の間、私はFedがもっと積極的な行動に打って出るかどうかについて懐疑的な立場をとってきたが、ダラス連銀総裁であるリチャード・フィッシャー…