フリードマン、グリーンスパンを語る


Economist's ViewよりM.フリードマンWSJにおけるグリーンスパン評が届きました。

Milton Friedman: Greenspan Ruled with Discretion”
http://economistsview.typepad.com/economistsview/2006/01/milton_friedman_1.html


グリーンスパンによる絶妙な金融政策運営は近時におけるアメリカ経済の急激な生産性上昇を支えた一つの要因であったといえる。というのは、インフレ率が低位で安定することで意思決定における不確実性が大幅に減少し、その結果ビジネスでの資源の効率的な活用が可能となったからである(=インフレ率のボラティリティが減少したことで長期的な計画立案が容易になった)。
果たして中央銀行はインフレ率を安定化する能力ないし技術を備えているであろうか、という点に関して私フリードマンはこれまで懐疑的であったけれども(歴史上何度も繰り返される失敗から私はそう判断したのであり、マネーサプライルールを設けて政策運営の自由度を縛るべきであると主張した理由も彼ら中央銀行家の裁量には任せておけないと考えたからである)、グリーンスパンの実績を前にしては私の(中央銀行のインフレを制御する能力への)疑念も撤回せざるを得ないであろう。マネーサプライルール(k%ルール)なしでも中央銀行はインフレ率の水準を低く抑えることができるし、またインフレ率の変動(=ボラティリティ)を安定化させることもできる。今後世界各国の中央銀行家たちはインフレを制御できなかったからといって言い訳は一切できないだろう。グリーンスパンによって中央銀行はインフレを制御する能力を備えていることが明らかにされたのであるから。