3タイプの経済学者


年来の懸案事項の解決策をめぐって4人の経済学者が話し合っています。

「市場は機能する。市場を利用しよう。(Markets work; let's use markets.)」

彼(彼女)はシカゴ大学のC教授です。

「市場はうまく機能しない。政府による介入が必要だ(Markets fail; let's use government.)」

彼(彼女)はハーバード大学のH教授です。

「その通り。市場の機能不全を補うのが政府の仕事だ。」

ハーバード大学教授の発言に相槌をうっているのはMITのM教授のようです。


「市場に任せろ」(C)、「いや政府の介入が必要だ」(H)、「そうだ」(M)、「い〜や、市場」(C)、「いやいや、政府」(H)、「そうそう」(M)・・・。激しい議論の応酬です。

「君はどう思う?」

数のうえで劣勢に立たされているシカゴ大学教授が議論の様子を静かに眺めていたもう一人の教授に発言を求めました。彼はジョージ・メイスン大学のG教授*1です。

「市場はうまく機能しない。」

彼(彼女)からの助け舟を期待していたシカゴ大学教授はがっかりした様子です。


しばらく間をおいてジョージ・メイスン大学教授が続けて言いました。

「市場の機能不全を補うために市場を利用しよう。(Markets fail; let's use markets.)」


「市場は機能する」(C)、「それは違う」(H)、「それは違う」(M)、「それは違う」(G)・・・・。
「政府介入が必要だ」(H)、「その通り」(M)、「それは違う」(C)、「それは違う」(G)・・・・。


窓の外を見るとすっかり日が暮れています。議論の決着は明日に持ち越されることになりました。


*Nicholas Desai, “The Virginia School”(Doublethink, Feb 25, 2008)におけるArnold Klingの発言より。

*1:ネオ・オーストリア学派に親近的な立場とのこと