大きな謎ともっと大きな謎


ちょっとした買い物をするためにバスに乗っていたところ、前の席に座っていた2人の男性がおおむね次のような会話をしていた。徹夜明けでちょっと眠たかったんで、ところどころ記憶違いがあるかもしれない。

X氏:「ちょっと聞いてほしいんだけど、僕にはよく理解できない大きな謎があるんだ。金融政策は全く効かないか効き過ぎるかのどっちかだって話をよく耳にするんだけど、僕にはこれが謎に見えて仕方がないんだ。」
Y氏:「どういうことだい?」
X氏:「金融緩和なんかしたってデフレから抜け出すことはできない。なぜなら、デフレは人口減少や期待成長率の低下といった金融政策では対処できない要因によってもたらされているからだ、っていう話、聞いたことあるだろう?」
Y氏:「よく聞くね。どこかの中央銀行総裁の口からもそんな話聞いた気がするけど。」
X氏:「金融政策ではデフレは解決できない。金融政策はデフレには無効だっていう意味だよね。」
Y氏:「そうだね。そんならいっそ税金とるのやめて政府が行う支出は新規の貨幣発行で賄えばいいじゃんね。いくら貨幣を増やしてもインフレにならないんだし。」
X氏:「でしょ? でも、そうすると、「そんなことしたらハイパーインフレになる!」、って言うんだ。金融政策は効きすぎちゃうって言うんだ。金融政策は全く効かないって言ってたはずなのに、突然効きすぎるって言い出す。僕にはこれが不思議で仕方がないんだ。」
Y氏:「なるほど。確かに謎だね。でももっと大きな謎があるね。」
X氏:「もっと大きな謎?」
Y氏:「ジンバブエとか例外はあるけど、基本的にどの国もインフレ率がプラスの値で安定してるよね。金融政策が全く効かないか効きすぎるかのどっちかだとしたら、インフレ率が安定している国がこんなにも多いのは大いなる謎だよね。」