ルーカス、今般の金融危機について語る


以前R.ルーカスのとある論説(=サブプライム危機と金融政策との関連について)を取り上げた際に「ルーカス先生は現在の状況をどのように見てらっしゃるんだろうか。」なんて問いかけたんだけれども、Spiegel Onlineにて今般の金融危機についてコメントをしているようだ。


●Robert E. Lucas, “The Recession Is the More Immediate Problem”(Spiegel Online, November 12, 2008)

Should we be concerned that people will just hold on to the new reserves and continue to reduce spending? Some of that is surely happening, but more reserves can always be added.

Should we be concerned about inflation? Of course, always.

But right now the recession is the more immediate problem. If inflation resumes, reserves can be taken out as quickly as they were added. This is a classic lender-of-last-resort situation and it is important to maintain focus.

準備預金(ベースマネー)をジャブジャブ供給したところで貸出に回らずに当座預金口座にブタ積みされるだけで需要刺激効果はないかもしれない? ならもっと準備供給を増やせばいい。準備供給増やすことなんていつでもできるんだから。
そんなことしてたらインフレが加速する危険がある? 確かに。でも喫緊の課題はインフレなんかじゃなくて不況だよ。それにインフレが加速しそうな兆候があるんならその時は売りオペでもして準備預金を市中から引き揚げればいいじゃない。それだけのこと。

実に明快。この文章を読んでいて頭に浮かんできたのはクルーグマンも度々引用するんだけれどもホートレーの以下の言葉、

「彼ら(ハイエクたち)は、「ノアの洪水の真っ只中で“火事だ、火事だ”と叫んでいるようなものだ」


なお、ルーカスのこの論説はokemosさんが全文を訳してらっしゃいます。興味のある向きはokemosさんのブログを参照ください。