BOE インタゲパンフレット翻訳企画
●Bank of England, “Quantitative easing explained 〜Putting more money into our economy to boost spending〜（pdf）”
連日の翻訳企画でございます。詳細はnight_in_tunisiさんのブログをご覧ください。以下は7枚目のページ（パンプレットのページ数ではpp.10とpp.11の間にあるページ）の図解の説明文の訳です。
本パンフレットの訳が出来上がったらヨリ明らかになると思われますが、イギリスが現在採用している「量的緩和」は「インフレ目標つきの量的緩和」であり、ただの「量的緩和」ではないという点には注意したいところです。
（追記）全訳が完成した模様です。前回と同様にリフレ政策wikiポータルで読むことができます。ただし、リフレ政策wikiポータルで読むことのできる本文訳の訳出を担当されたのは、night_in_tunisiさん、optical_frogさん、tmpsoulcageさんの3氏であり、私は一切関わっておりません（私の関与は以下にある図解の説明文訳だけです）。称賛の声はもちろんのこと罵詈雑言の類（笑）を私に向けられても困りますので、その辺のところはよろしくお願いします。おそらくこの件に関して後日また続報があるかと思います。
（追々記）続報です。
●night_in_tunisia, “イングランド銀行発行 解説！量的緩和 日本語版 プレビュー”（徒然なる数学な日々, 2009年11月10日）
イングランド銀行発行の『解説！ 量的緩和』の邦訳がpdfファイルでもダウンロードできるようになりました。大変読みやすい訳文*1とともにビジュアルに訴える図解の助けもあってイングランド銀行の政策理念をよりよく理解することができるのではないかと思います。あるべき金融政策とは何かということを考えるにあたっても示唆するところが大きいようにも思います。
なお、以上の訳文をpdfファイルにうつす作業はnight_in_tunisiさんのご尽力によるものであり、称賛の声はもちろんのこと罵詈雑言の類（笑）を・・・（略）・・・その辺のところよろしくお願いします。
中央銀行による資産の購入＝＞（経済への貨幣注入）→①＋②
中央銀行は民間部門から資産を購入することによって経済に対し貨幣を注入します
①（資産価格の上昇）
中央銀行が民間部門から金融資産を購入すると、金融資産に対する需要が増加し、また民間部門における資金の余裕が生まれることにより*2、金融資産の価格が上昇することになります。→（総資産の増加）
金融資産の価格が上昇することにより、民間部門の総資産は増加することになります。金融資産の価格上昇は、金融資産保有者の資産増加というかたちで直接的に民間部門の総資産を増加させますし、また例えば年金基金が保有する金融資産の増加を通じて間接的なかたちでも民間部門の総資産を増加させることになります。→（資金借入れコストの低下）
金融資産の価格が上昇することにより資産利回りの低下が促されることで資金借入れコストが低下することになります。資金借り入れコストの低下は、家計や企業が資金をヨリ安価なコストで調達できることを意味しています。
②（マネタリーベース・マネーサプライの増加）
マネーサプライの増加は、民間部門が財・サービスの購入や金融資産の購入のために支出できる支払手段の増加を意味します。
マネーサプライが増加する過程においては、民間銀行部門が保有する中央銀行預け金の増加と企業（非金融法人）が民間銀行部門に保有する預金通貨の増加が見られることになります。→（銀行貸出の増加）
民間銀行部門が保有する中央銀行預け金の増加により、民間銀行部門は家計や企業に対する貸し出しを増加させることが可能となります。民間銀行部門が保有する中央銀行預け金の増加は、民間銀行部門の貸出増加を促すことで家計や企業による資金調達を容易にする効果を持っています。
①＋②→（総支出（総需要）、総所得の増加）
総資産の増加、資金借入れコストの低下、銀行貸出の増加によって金融市場の条件が好転し、家計や企業による支出が促されることになります。家計や企業による支出が促されることにより、労働雇用の促進や総所得の増加といった効果が見込まれることになります。
（総支出（総需要）、総所得の増加）→（目標インフレ率2％の達成）
支出の増加と労働雇用の増加とは、目標であるインフレ率2％の達成と維持とに貢献することになると見込まれます。
