2006-04-20から1日間の記事一覧

最後のIS-LM論

IS-LM分析の生みの親として名高い(悪名高い?)ヒックス。彼がIS-LMを主題として論じたのは生涯で4回(私が知っている範囲内では)と意外と少ない。“Mr. Keynes and the Classics”/“The Classics again”(この二つの論文はともに『貨幣理論』(Critical Ess…

IS-LMの使用法

前回続き。IS-LMへの批判について。根井雅弘著『「ケインズ革命」の群像』ではIS-LMに対する2つの批判(IS-LMがケインズの重要な側面を捨象している点を問題視するもの)が取り上げられている。第一はパシネッティによるもので、IS-LMでは変数間の関係が相互…

諸々の「ケインズ革命」

根井雅弘著『「ケインズ革命」の群像』を読む。1936年以前に経済学者として生をうけていたことは幸いであった―然り。しかもあまりにも以前に生まれていなかったことが!暁に生きてあるは幸いなりされどその身若くありしは至福なるべし『一般理論』は、南海島…

既得観念としてのIS-LM

引き続きLaidlerの論文より。Many economists and some philosophers of science share what could legitimately be called Panglossian view of the losses that accompany the move towards more formal models.Kitcher(1993), for example, has argued, i…

罪深きIS-LM

David Laidler(with Roger E. Backhouse)、“What was lost with IS-LM?(pdf)”(Laidlerホームページより)。IS-LMモデルは現実経済の重要な側面−経済活動は時間を通じて行われる営為であるということ−を捨象してしまったがために、経済学の更なる発展へ…

流動性のワナ

貨幣需要の投機的動機=貨幣と「債券」(コンソル債)間の資産選択の問題、について(堀内昭義著『金融論』、p140〜144参照)。コンソル債(確定利付き債)の流通価格;P=cF/i (F:額面価格、c:クーポン率、i:利子率(最終利回り))コンソル債を1年間…

IS-LM再論

IS-LMモデルは物価一定の短期の仮定の下で、財市場と貨幣市場の均衡分析をおこなうものである。IS関係は投資=貯蓄という財市場のフロー均衡の状態を記述する。利子率の減少関数である投資と所得の増加関数である貯蓄は、財市場における所得の変動によって均…